結合させた構造の明確な「ヘモグロビン-アルブミン クラスター」を開発し、その立体構造の詳細を明らかにすると
共に、得られた製剤が生理条件下(pH7.4、37℃)で酸素を安定に輸送できることを実証したと発表した。
成果は、中央大 理工学部応用化学科の小松晃之教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、
4月29日付けで米国化学会誌「Biomacromolecules」にオンライン掲載された。
輸血液の代替物となる人工酸素運搬体の実現は、次世代医療における重要課題の1つとして位置づけられて
いるところだ。特に日本では、1つは大規模災害時における輸血液の大量需要から、もう1つは少子高齢化によ
る献血者人口の減少に伴う慢性的な輸血液不足への懸念から、血液型に関係なくいつでもどこでも使用できる
人工酸素運搬体の開発・常備が、危機管理の重要施策にもなっている。
人工酸素運搬体の研究はこれまで欧米を中心に行われており、赤血球中にある酸素輸送タンパク質のヘモ
グロビンを化学修飾した、いわゆる「修飾ヘモグロビン製剤」が精力的に開発されてきた。特にヘモグロビンを架橋
した「ヘモグロビン重合体」は、輸血液の代替物として1990年代から研究が始まり、21世紀に入ってからは米
Northfieldの「PolyHeme」、Biopureの「Hemopure」が臨床試験PhaseIII(第三相試験)まで進んでいた。
しかし、不均一な構造であることや、血圧上昇などの副作用といった問題を解決できず、2013年4月時点で認可
された製剤はない。つまり実用化には未だ至っていないというわけだ。なお血圧上昇のメカニズムは、このヘモグロビン
分子が「血管内皮細胞」から漏出し、「血管内皮由来弛緩因子」である一酸化窒素を捕捉するため、血管収縮が
起こることで発生するものと考えられている。
そのような背景の下、小松教授らが今回設計・開発したのが、構造が明確で、副作用がなく、生体内で十分量の
酸素を輸送できる新しい人工酸素運搬体だ。具体的には、ヘモグロビンの分子表面に3個のアルブミンを結合させた
クラスター(画像1)を合成しており、それが安定な酸素錯体を形成できることが見出されたのである。
アルブミン(正確にはヒト血清アルブミン)はコロイド浸透圧の維持や各種内因性・外因性物質(代謝産物や薬物
など)の貯蔵運搬という役割を担っている。そして、ヒトの血清(血液中の血球以外の部分)に溶解しているタンパク
質の中で最も量の多い成分で、約60%を占める。ヒト成人男子の血清100mL中には4~5gものアルブミンが含まれて
いるという。
酸素運搬の役割を担うヘモグロビンをアルブミンで包んでクラスター状分子にすることによって、アルブミンの性質を
持ちながら、赤血球のように酸素を運ぶことのできる新しいタンパク質複合体というわけである。
http://news.mynavi.jp/news/2013/05/14/077/images/001l.jpg
画像1。クラスターの立体構造。中央の赤い部分がヘモグロビン、周囲の緑の部分がアルブミン。ヘモグロビンがアル
ブミンで覆われた構造になっている
このようなクラスター状分子を作る上で最も難しい点は、いかに1つのヘモグロビンを複数のアルブミンで包み込むかに
ある。小松教授らは、アルブミンの中に1つだけ存在する34番目のアミノ酸「システイン」に着目し、それと赤血球から
取り出したヘモグロビンの表面を選択的に結合させる方法により、目的のクラスター構造を高効率で調製することに
成功した形だ(画像2)。ヘモグロビンをアルブミンで包み込んだ形である。また、ベルリン自由大学と共同で特殊電子
顕微鏡観察を実施し、その3次元構造の詳細も解明したのである(画像3)。
http://news.mynavi.jp/news/2013/05/14/077/images/002l.jpg
画像2。ヘモグロビン-アルブミン クラスターの合成方法の模式図。血液適合性は高く、生体は血清タンパク質として
認識するので、安全性はきわめて高い
http://news.mynavi.jp/news/2013/05/14/077/images/003l.jpg
画像3。ヘモグロビン-アルブミン クラスターの(a)原子間力顕微鏡像と(b)透過型電子顕微鏡像。中央のヘモグロ
ビンにアルブミンが3分子結合している構造がはっきり観測できる
>>2あたりに続く
デイビー日高/マイナビニュース 2013/05/14
http://news.mynavi.jp/news/2013/05/14/077/index.html
化学・生物学には詳しくないけど、実用化できたなら朗報だね。
度はヘモグロビン重合体に比べ2倍以上高いことがまず1つ。次に、アルブミンで覆われたヘモグロビンの表面電荷は
マイナスに帯電しているため、生体内へ投与しても、血管内膜との静電反発により細胞外へ漏出することはなく、
副作用(血圧上昇)は見られないと考えられるという。また、「酸素親和性」は赤血球に比べ高く、末梢組織への酸素
輸送に有利だとする。
さらに、粒径は約15nmと小型で、8μmある赤血球の1/500以下。血管が梗塞した部位にも入り込んで酸素を運ぶ
ことができると考えられるので、酸素治療薬としての応用にも期待がかかっているとする。そして原料が、これまで説明
したようにヘモグロビンとアルブミンであるため、コストの高い原料は一切不要であることもポイントである。製造工程は
2ステップときわめて少なく、先行製剤に比べ、簡便に調製可能。特殊な機械や装置は一切必要としない。
またアルブミン部分は、酵母を用いて産生する遺伝子組換えアルブミン(人工アルブミン)も使用できる。最後に、アル
ブミンはさまざまな分子を結合する能力を持っているため、アルブミンユニットに機能分子を自由度高く包接することが
可能だ。例えば、「フラビン(電子伝達物質)」を包接させると、酸素結合能を失わない(酸化劣化しない)人工酸素
運搬体を合成することもできるというわけだ。
つまりヘモグロビン-アルブミン クラスターは、既存製剤の未解決課題を一気に解決した新しい人工酸素運搬体といえる
のである。長期保存可能な人工赤血球がバッグや粉末として棚置きで常備され、緊急時にその必要量を患者に供給
できる体制の確立は、近未来の医療現場に望まれる理想的な姿であり、それが人類の健康・福祉の向上に多大な
貢献をもたらすことは間違いない。
用途・利用分野は広く、赤血球代替物(出血ショックの蘇生液、術中出血時の補充液、救急車内での酸素供給
液)としてはもちろん、心不全・脳梗塞・呼吸不全などによる虚血部位への酸素供給液、移植用臓器の灌流液や
保存液、人工心肺など体外循環回路の補填液、がん治療用増感剤、再生組織への酸素供給液などとして大きな
期待が寄せられているとした。
ヘモグロビン-アルブミン クラスターの完成が、人工赤血球の開発に新たな突破口を開き、先進医療のみならず、社会
全体に与える波及効果と意義は大きいといえるとも、小松教授らは語る。また、災害時の大量需要に即応でき、室温
長期保存が可能で、血液型に関係なく、ウイルス感染の心配もなく、いつでも誰にでも使える人工酸素運搬体の市場
範囲は、先進国・新興国を含む全世界規模に及ぶとしている。
酸素を輸送できるタンパク質クラスターの合成に成功 =人工酸素運搬体(赤血球代替物)としての臨床応用に期待=
中央大学ニュース 05/13
http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/news/contents_j.html?suffix=k&mode=top&topics=20040
Covalent Core–Shell Architecture of Hemoglobin and Human Serum Albumin as an Artificial O2-Carrier
Daiki Tomita, Takuya Kimura, Hitomi Hosaka, Yuta Daijima, Risa Haruki, Kai Ludwig, Christoph Böttcher, and Teruyuki Komatsu
Biomacromolecules, Just Accepted Manuscript DOI: 10.1021/bm400204y
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/bm400204y
それ以外は認めない
すごい!エイリアンのアンドロイドですか。
いやイメージしてたのはMGSシリーズのサイボーグなんだけど
あれ元ネタは確かにエイリアンのビショップだよなw
新たなドーピングの登場だな。
>普通なら進化の過程で統一
血液型が偏るような淘汰圧無いし、子に継承する際も
AO + BO (A:B:O=1:1:2) → AB, AO, BO, OO (A:B:O=2:2:4)
AA + AO (A:B:O=3:0:1) → AA, AA, AO, AO (A:B:O=6:0:2)
のように発現する血液型の増減はあっても
その元になる遺伝子型の比率は増えも減りもしないから
そりゃ新たな変異や自然選択や浮動がない仮定の場合の話で現実とはちょっと違う。
O型遺伝子が変異により機能を失ったA型遺伝子だったりするのを考えると
まったく機能がないならビタミンC合成能みたいに変異によって機能しない遺伝子型の方が
増えていってしまうはずだからかなりの割合でまだA型やB型が保存されるのはその方向に
何らかの淘汰圧がかかってると考えた方がいいの。
だから何かしらの機能はあるんだろうな、あんまり真剣に研究されてないけど。
ちょっとタブーみたいなところはあるのかなと
一般人にも知れ渡っている遺伝子レベルでの違いが
淘汰圧を生むレベルで能力や特徴に影響するとなると
いろんなところで差別の原因になりうる(それこそ就職とか結婚とか)
という理由なのかなと思ってるんだけど
特に性格の違いの話になるとヒステリックなまでの勢いで否定する学者ばかり
遺伝子に違いがあるんだから性格が違ってもおかしくないと思うんだけど
>増えていってしまうはず
という認識が違うんじゃないかな
A→O→Bの順で発生したという説があるわけで、
広まったことを考えるとそれらが発生した際の集団には
相当強い淘汰圧があったんだろうけど
それらが繁殖し、移動時し、混在するようになった後でも
「A→O」の突然変異の確率が「O→A」の確率を上回る理由が無いとそれは起きない
というかそれだとBが増えていく
>「A→O」の突然変異の確率が「O→A」の確率を上回る理由が無いとそれは起きない
Oは機能不全型なんでAの座位のかなりどこで変異してもO様になるのに対して
逆の復帰はかなりピンポイントなんで確率がまったく違う、AからBもしくはOからBも同様に低いし
OからBも高頻度でありえる。
やはり自然災害が多い日本では、こういう方向の技術が発展するんだな。
戦争好きなアメリカあたりでも良さそうだがw
って海外で言われそうなネタだな
毛深い人と薄い人にも違いがあるしときりがない。
少なくともそれ以上に生活環境の違いなどの外的要因のが多いのは明白だから
学者としても研究しづらいんじゃないかな
すでに発現してる他の特徴と関連付けるのは
どっちが原因か特定できないから問題が少ないのかなと思う
子供にも受け継がれる特徴かどうかも普通は決まっていないし要するに「遺伝子が違う」とはっきりしてるケースってあんまりないと思うんだよ
色盲とかダウン症のように明確な症状が出る場合は別として
性格の違いが研究対象にしにくいものであるのは確かだろうね
面白い意見が多数出てる!
もっともっといろんな意見を教えて欲しい
中央大さん、早くにげて~~
むしろwinwinでしょ
京都大のiPSもそうだったし
こんどのニュースは卒業生で良かったと思った。
書こうとして最後のレスまで見たら書かれてた‥‥‥‥ ○rz
成分献血なら続けるんじゃない?
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